「結婚を前提に交際していたはずが、婚約が突然破談になってしまった…」そんな可能性は、必ずしもゼロとは限りません。
また、やむを得ない事情ができて自ら破談を切り出そうとしているという方も少なくないでしょう。
しかしその場合、婚約破棄によって「相手に訴えられるかもしれない…」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、婚約破棄の基本知識や慰謝料が発生する条件、さらには訴えられたときの対応方法などをまとめます。
目次
「重い」婚約破棄に当てはまる二人の関係性は?
婚約破棄とは、結婚の約束をしていた二人が何らかの理由で別れてしまうことをいいます。
婚約の一方的な解消は、リスクとなりやすいのが現実。一般的に、婚約は「結婚する意思を社会的に確認した」という意味を持つためです。
二人の間に下記のような行為があった場合、婚約が成立した証になる可能性が高いでしょう。
- 結婚指輪の交換
- 結婚式場や新居の契約
- 両親への挨拶や顔合わせ
万が一、このような状態で婚約を破棄する場合、「相手の人生設計を大きく狂わせた」として損害賠償が発生するケースもあります。
慰謝料が発生しやすいケース
慰謝料が必要になるケースは、形式的な婚約の有無だけでなく破棄となった要因がどちらにあるかでも決まります。
慰謝料を請求される可能性が比較的高いケースは、下記の3点です。
- 浮気が原因
- 一方的に心変わりをした
- 結婚式などをキャンセルする場合
ちなみに、「婚約者に内緒で別の人と交際していた」「結婚直前に不倫が発覚した」などは、慰謝料が発生する典型的な例です。
相手に落ち度がなく、一方的に別れを切り出すなど客観的に見ても著しく信頼を裏切っている状況であるほど慰謝料の金額も比例するでしょう。
また、結婚式場の予約や招待状の手配など、具体的な費用が発生している場合も注意が必要です。キャンセル料などの損害分も含めて、慰謝料を請求される可能性があるでしょう。
慰謝料が発生しづらいケース
たとえ自分から婚約破棄をした場合でも、下記のように相手にも落ち度があると考えられる場合は慰謝料が発生しにくいです。
- 重大な隠し事が発覚した
- 健康面や性格に問題があった
- 元々は双方で合意していた
例えば多額の借金や過去の犯罪歴を隠していた場合、婚約破棄もやむを得ないと判断されるでしょう。
暴力的な性格やアルコール依存など、相手に結婚生活を続けることが難しい要因がある場合も責められにくいです。
婚約破棄での慰謝料相場はどのくらい?
婚約破棄における一般的な相場は、50万円~300万円程度といわれます。
ちなみに、慰謝料の金額を決めるポイントは以下の通りです。
- 婚約期間の長さ
- 結婚準備にかかった費用の有無
- 破棄の原因(浮気・一方的な気持ちの変化など)
- 相手が受けた精神的・経済的ダメージ
婚約指輪の購入、結婚式場の予約、親族への挨拶などを終えた状態で一方的に破棄した場合、相場より高額になる傾向があります。
逆に、交際中に婚約の話が出た程度で準備がほとんど進んでいなければ、金額は低めになることが多いようです。
もしも訴えられたらどう対応する?
「婚約破棄で訴えられる」と聞くと、誰でも動揺するもの。しかし以下で紹介するように、冷静に適切な対処を心がけることで大きなトラブルを避けられる可能性もあります。
本来、婚約破棄はしないにこしたことはありませんが、万が一に備えておきたいという方は参考にしてみてください。
まずは相手の目的を確認
相手が本当に訴訟を起こしたいのか、「請求したい」という意思表示なのかを冷静に見極めましょう。相手の気持ちに寄り添って、納得がいくまで話し合えば円満に解決できる可能性も高いです。
婚約破棄を告げた際、冷たい態度を取ってはいませんでしたか?
改めて事の重大さを真摯に受け止めて、尊重する姿勢を忘れないでください。
また、実際に訴訟を起こしていなくても、そう伝えることで脅してきているパターンも考えられます。訴訟前に「内容証明郵便」で請求が届くことも多いですが、この時点で焦って支払うのは危険です。
証拠を整理
婚約破棄で訴えられた場合、破棄の理由に加えて下記の現状についても整理をしましょう。
- 婚約指輪の有無
- 結婚式場や旅行の予約記録
- 両親や親族との顔合わせの有無
- メールやLINEなど証拠が残る形で結婚の合意していた
上記を時系列でまとめるだけでも、自分の立場をきちんと整理できます。
交渉の余地を探す
婚約破棄であなたに落ち度があったとしても、すぐに裁判になるとは限りません。
多くの二人は「話し合い」や「調停」で解決します。
また、金額が相場より高すぎる場合は減額を求めることも可能。現状でどのくらい交渉の余地があるのか、慎重に探ってみるべきでしょう。
感情的な言動を控える
婚約破棄で訴えられたときに何よりも大切なのは、「感情的にならない」ということ。
訴えてきた相手を感情的に責めると話が拗れてしまいかねませんし、後に不利な証拠として扱われる可能性もあります。
感情に任せて後悔する未来を避けるためにも、常に相手の真意を冷静に探り、自分の反省点を踏まえた誠実な話し合いを心がけるのがポイントでしょう。
専門家に相談
真剣に訴えられてしまった場合、独力で対応するのは困難な場合が多いです。
弁護士に相談すると費用はかかりますが、プロのサポートによって気持ちの負担は小さくなるはず。
不当な請求があった場合も適切に対処してくれるので、一刻も早い解決を望むのならそれが一番の近道かもしれません。
婚約破棄と慰謝料の基本を理解して冷静に対応しよう
婚約破棄で訴えられる可能性は、破棄の理由や準備の進み具合によっても大きく変わってきます。
場合によっては慰謝料が発生するかもしれませんが、感情に流されることなく証拠を整理し、相手の主張を冷静に確認することが大切。その上で必要があれば、専門家に相談するべきでしょう。
もしものことが起きた場合、その経験を人生の大きな試練の一つと捉え、どう受け止めて次にどうつなげていくかを真剣に考えてみてください。そうすればきっと、前向きな未来につながりますよ。