かつて、バブル景気の時代は、高身長、高学歴、高収入といういわゆる「三高」の男性が結婚相手として人気でした。また、その対になるように「低姿勢」「低依存」「低燃費」という「三低」の女性が人気を集めていたことも。
しかし、長く続く景気低迷やライフスタイルの変化から、結婚相手に求める理想は再び大きく変化しています。
今回は、そんな現代の男性が選ぶ新しい価値観、「三安」について解説します。
目次
結婚相手に求める新たな価値観「三安」とは?
近年、若い男性が結婚相手を選ぶ基準として、女性に求めるようになってきた価値観が「安」心・「安」定・「安」全の「三安」です。
これまでの条件と比較すると、「心の充足」を基準にした価値観へと変化しており、派手さはなくてもお互いに心地よい関係を求めているようになっているようです。
ここからは、それぞれの価値観を詳しく見ていきましょう。
① 安心 ~素の自分でいられる関係~
現代社会では、仕事にストレスを抱える男性が少なくありません。だからこそ、家庭には「安らぎ」を求める傾向が強まっています。
例えば華やかな見た目で美意識が強い女性とは刺激的な毎日を過ごせそうですが、いつ心変わりされるかなどと不安にもなりますよね。
一方で、張り詰めた気持ちを解きほぐし、自然体でいられるようなホッとする女性となら安心して穏やかな毎日を過ごせます。そんな人がパートナーになってくれれば、明日の仕事への活力を効率的に生み出せるでしょう。
② 安定 ~無理のない生活のバランス~
現代は長年続く景気低迷で、収入が思うように上がらないのが実情です。
そんな今を生きている男性は、高価なモノやお金の有り余る経済的な豊かさより生活の安定そのものを重視しています。
リスクを負って高みを目指すのではなく、今ある収入でやりくりする。派手さはありませんが、この不確かな社会ではこれが適切なライフスタイルといえるでしょう。
このような考え方が根底にあるため、彼らはパートナーの金銭感覚もシビアに見ます。
女性側にもある程度の収入を求めるのは、今後に備えてのこと。何が起こるか分からないからこそ、命綱となるものをいくつも用意しているのです。
③ 安全 ~信頼と誠実は関係構築の基礎~
ここでいう「安全」とは、傷つけない、裏切らないことを指します。
たとえば家庭内暴力を意味する「DV」。DVというと男性から女性へというイメージがありますが、警視庁のデータによると全相談件数の約4分の1は男性被害者です。
肉体的な暴力に限らず、妻からの苛烈な言葉に悩まされている男性は少なくありません。浮気や不倫といったものも同様です。
DVだけでなく、嘘をつかない・約束を守るといった当たり前の道徳観や社会的常識なども重要なポイント。自立した人間同士の関係を維持するために、「当たり前」の認識がズレない女性でなければいけません。
20代の男性に「三安」が大きく支持される理由
20代男性の三安志向の背景には、社会と個人、両方の変化が関係しています。
不確実な社会の中にいるからこそ、三安は成熟した安定志向の表れ。そして一方的な関係ではなく「対等なパートナー」を探そうとする、現代の男性の素直な願いが見え隠れしています。
社会環境の変化
特に20代において三安が求められる背景として、現代社会におけるプレッシャーの増大が挙げられます。
成果主義、長時間労働、転職の不安など男性が背負う責任は決して軽くありません。常に競争と評価にさらされる中で、家庭や恋愛関係まで緊張を持ち込みたくないという気持ちが、「安心できる関係」の追求につながっているのでしょう。
それだけでなくSNSやリモートワークなど、人との関わり方・距離感が変わったことも少なからず影響しています。直接的な人間関係が希薄になりやすい現状があるからこそ、「心を許せる存在」の欲求が強まっているのではないでしょうか。
恋愛観・女性観の変化
従来、恋愛や結婚はいわゆる上昇婚、つまり男性の方が収入や年齢も上という形がほとんどでした。しかし「男女平等」という概念が広く浸透した結果、男性は「対等に支え合う」ことを望むようになっています。
また、情報化の中で恋愛観や結婚観も大きく変化しています。厚生労働省のデータによると毎年20万組近くの離婚する夫婦がいる今、結婚に後ろ向きな男性は少なくありません。精神的な安定を保つためにも、相手との信頼関係を求める傾向が強まっているのでしょう。
安心感を求める男性に効果的なアプローチ
三安を重視する男性は、派手さや刺激よりも「心の落ち着き」を大切にします。
そのため、彼らに響くのは「特別な言葉」よりも「自然な優しさ」。ここでは、三安を望む男性に対して女性ができる効果的なアプローチを見ていきましょう。
思いやりのあるコミュニケーションを意識
相手への思いやりを重視する姿勢が、三安を求める男性に響きます。
駆け引きや試すような言動よりも、一貫した言葉と穏やかなトーンが信頼につながります。
例えばメッセージの返信が遅れたときに「どうしたの?」と詰めるより、「忙しかったのかな?」と気遣う言い方を心がけてください。ちょっとした表現の違いでも、相手に与える安心感は大きく異なります。
現実的な考え方を共有
三安を求める男性は、現実の生活を一緒に歩めるかどうかも判断材料にします。
そのため、理想を語るよりも収入と支出のバランスが取れた現実的なビジョンを共有できると好印象でしょう。
金銭感覚や生活習慣は、相手に「一緒に暮らしても安心できそう」と思わせられるポイント。派手な消費や極端なこだわりより、「無理せずきちんと生活している姿勢」が信頼につながりますよ。
対等な関係を築く
今の世代は特に、「対等なパートナー」としての関係を望みます。
過剰に世話を焼いたり励ましすぎたりすると、かえって距離を感じることも少なくありません。必要なときに寄り添う程度の距離感が、三安を求める男性の理想の関係なのです。
同様に、女性側が経済的あるいは精神的に求めてばかりというのも望みません。
どちらかが一方的に寄りかかる、もしくは相手を支配するような関係性ではなく、「常に並んで歩ける」二人を意識しましょう。
三安は二人の協調性を育てる新しい価値観
20代をはじめとする現代の男性が望む新しい愛のかたちが三安です。
三安を重視するような関係は華やかさに欠け、刺激的とはいえないかもしれません。
しかしながらこうした価値観の変化は、恋愛や結婚が「競争」ではなく「協調」へと進化している証です。
一方を主とした支配より、お互いを思いやれる共感性を大切に。こうした優しさや穏やかさの中にこそ、長く続く幸福と信頼が育まれるのではないでしょうか。






