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ひよるの本来の意味とは

ひよるの語源は、日本語の「日和見(ひよりみ)」から来ています。「日和見」は名詞ですが、「日和る」は日和見をすることを指していて動詞になります。ひよるの本来の意味は、「物事に対して積極的に関わらない」、「傍観する」ことを言います。最初から自分の考えや意見を通すのではなく、周囲の状況や様子を見て、より有利だなと感じる人の味方になったり、自分の意思や信条を押し出さずに自分にメリットのある方に流れたりするような行動を「ひよる」と表現します。「優柔不断」、「すぐに他に寝返る」などに似たニュアンスの使い方をする言葉です。
ひよるの漢字はどう書く
ひよるの漢字は、「日和る」と書きます。「日和」は小春日和などと表現されるように、もともと天気を表す言葉です。昔、船頭が航海のルートを決めるときに、高いところから雲の流れや風向き、波の速さなどを見て判断していました。ここから「日和る」は、物事の成り行きを見ながら有利な方を選ぶ意味として使われるようになります。その後、学生運動が盛んだったころ積極的に活動せず、ことの成り行きを見守っていた学生たちを指して「日和見主義」と批判するなどの使われ方もしています。
ひよるの類語は
ひよると同じ意味を持つ類語を見ていきましょう。動詞の場合、「妥協する」、「長いものに巻かれる」、「形勢をうかがう」などが、ひよると同じニュアンスで使える言葉です。妥協するの意味は、異なる意見が出た場合に一方もしくは両方が譲歩して解決をはかることを言います。長いものに巻かれるは自分より力のあるものに従う意味、形勢をうかがうはそのときの状況や力関係を傍観し時期を待つことをいいます。
若者言葉でも使われるひよる

若者の間でもひよるは使われています。若者言葉の場合は、本来のひよるの意味で使わときと少し違うニュアンスで使われることもあるようです。言葉の持つ意味は、時代とともに変化していくことも少なくありません。ただし、年配の人と若い人が話しているときにひよるを使うとお互いに知っている意味が異なり、話の流れがなかなか理解できなくなる可能性があります。若者言葉のひよるについて詳しく解説しましょう。
ビビると同じ意味
若い人の間では、「ひよる」=「ビビる」の意味で使われることが少なくありません。本来のひよるの意味とは少し違いますが、この語源は「ひ弱になる」からきているという説があります。「ひよわ(ひ弱)」が「ひよる」になり、「ビビる」と同義語で使われるようになったそうです。よくひよる人をヒヨラーと言ったりもするようです。
怖じ気づくという意味で使われることも
また、本来のひよるの語源ともいわれる学生運動の時代の様子が元になり、若者がひよるを使うようになったという説もあります。こちらは、学生運動でどっちつかずの立場にいる人をあおってひよるという言葉が使われ、その怖じ気づく様子から来ているといわれています。つまり若い人の間では、ひよるは「おじけづく」という意味でも使われることがあるのです。
ひよるの英語表現は

ひよると同じニュアンスを持つ英語はあるのでしょうか。それぞれの国の文化や習慣の違いから、日本語にはあるけれど英語で表現するのが難しい言葉や、逆に英語表現を日本語に訳すのが難しい言葉は少なくありません。しかし、ひよるの場合は、いくつか該当する英語の表現があります。ひよると同じ意味で使える英語を見ていきましょう。「sit on the fence」は、「形勢をうかがう」という意味になります。「wait and see」は「見守る」、「be noncommittal」のnoncommittalは、「どこにもコミットしない」、「どっちつかずの」、「あいまいな」などの意味があります。
恋愛シーンでひよるときは

恋愛シーンでも、ひよりたくなることはときどきあります。片思い中に相手が自分のことをどう思っているかわからないときや、好きな人に付き合っている人がいるかどうか、また自分自身がよくわからなくなったときはついひよりたくなってしまいますよね。ひよるの例文も紹介しながら、恋愛でのシチュエーションを見ていきましょう。
彼氏や彼女の様子がいつもと違う
付き合っている彼氏や彼女の様子がいつもと違うときは、なんとなく怪しいし、気になってしまいます。しかし、相手の態度が変だからといってすぐに問いただすことがいいかというとそうでもありません。そんなときは注意深く相手の出方を見ながらひよるといいでしょう。「なんか彼の様子が変で、浮気してるんじゃないかって思うんだけど、はっきり聞けなくてひよってるんだよね」、「最近彼女をデートに誘っても断られて、出かけたとしても彼女はなんとなく楽しくなさそうだったりして。何か悩みがあるんじゃないかと思うけれど、彼女は仕事のことを聞かれるの好きじゃないんだよね。だからひよるしかなくて」
相手の気持ちがよくわからない
付き合う前の段階で、相手が自分のことをどう思っているかわからないときもひよってしまう人が少なくありません。自分から告白してフラれたり、すでに付き合っている人がいると言われたりしたらショックですよね。白黒はっきりつけるよりもひよる方が楽という心理はあるでしょう。「ずっと片思いの人がいるんだけど、職場で同じフロアの別の部署の人なんだよね。だから付き合いたい気持ちはあるけれど、ダメだったときを考えるとひよってしまうんだよね」一歩踏み出したいけれど、躊躇する自分の状態をひよるで表しています。
好きだけど自分からグイグイいけない
好きな人はいるけれど、なかなか自分から積極的に行動できずいつもひよってばかりの人もいるでしょう。相手も同じ気持ちで、いつかお互いに好きなことに気づいて付き合えればいいですが、ひよるばかりだと恋愛に発展するタイミングを逃してしまうかもしれません。「彼女とても素敵な人だから、ひよってばかりだと他の人に取られてしまうよ!思い切って食事やお茶に誘ってみたら?」友達にはっぱをかける意味で、「ひよってないで」が使われています。
ひよるの意味はいろいろ|シーンによって使い分けよう

ひよるの意味は、もともとは日和見から来た言葉で、「傍観する」、「物事に積極的には関わらない」などの意味があります。しかし、若い人の間では、ひよるは「ビビる」、「おじけづく」などのニュアンスで使われているようです。ひよるはさまざまな意味があり、いろいろなシチュエーションで使える便利な言葉です。