「下方婚(かほうこん)」という言葉、耳にしたことはありますか?
このワードは収入や学歴、社会的地位などにおいて女性が男性を上回る状態の結婚を指します。
共働きが当たり前の今、下方婚は珍しい話ではありませんが、「うまくいかなかった」と悩む声も少なくないのが現実。収入や学歴などの差が夫婦関係のすべてではないはずなのに、なぜすれ違いが生まれてしまうのでしょうか。
今回は、下方婚が抱えるリアルな課題と関係を長く続けるためのヒントを探ります。
目次
「下方婚」が現代で増えている理由とは?
「下方婚」とは女性の地位や年収、学歴が男性より高い結婚を意味し、かつては「格差婚」とも呼ばれていました。
昔は「男性が家庭を支えるのが当然」という意識が強く、夫の年収が妻を上回るのが一般的でしたが、近年では以下のように女性の社会進出やキャリア継続が進んでいます。
- 管理職に就く女性
- フリーランスで成功する女性
- 専門職としてキャリアを築く女性
内閣府の調査でも、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍以上。世帯収入の逆転、つまり「妻のほうが多く稼ぐ家庭」はもはや珍しくありません。
とはいえ、社会の意識が完全に追いついていないのも現状です。「夫のプライド」や「妻の遠慮」など、見えない壁がまだ残っているのです。この“意識のズレ”こそ、下方婚が難しいといわれてしまう原因でしょう。
「格差」より怖いのは心のズレ?下方婚がキビシイ本当の理由
夫婦関係を波立たせるのは、「プライド」や「役割意識」のズレです。
ここでは下方婚がすれ違いを起こしやすい主な理由を具体的に見ていきましょう。
男性側の自尊心が試されるから
社会的にはジェンダー平等が進んでいても、「男が養うべき」という意識は根強く残っています。
そのため、妻が経済的に上に立つ状況を「頼もしい」と感じる人もいれば、「情けない」と心のどこかで感じてしまう男性もいます。
一見すると小さな違いが、日常生活の中で少しずつ距離を生んでしまうのです。
女性側には“リードしてほしい”気持ちがあるから
キャリア女性であっても「恋愛では頼りたい」「守られたい」という気持ちを持つ人は多いもの。
仕事でしっかりしている分、「家庭では甘えたい」というのが本心の場合も十分考えられるでしょう。
この“オンとオフのギャップ”を理解してもらえないことで、寂しさや不安感が積もっていくのではないでしょうか。
お金と家事のバランス問題
収入が多いからといって、家事を完全に免除できるわけではありません。
「私のほうが忙しいのに、なぜ家事分担が多くなるのだろう?」という不満が募るケースもあるでしょう。
また、男性側としては家事を頑張っているつもりでも、女性の目には「軽い手伝い」レベルに映るなど意識的な差が生じている可能性もあります。
周囲やSNSの視線から
「奥さんが稼いでるんだってね」という一言や、SNSでの比較文化もプレッシャー要素になります。
二人の関係に他人の目が入り込むと、「私たちの関係」より「他人からどう見られるか」に意識が傾いてしまいがちなのです。
下方婚の二人が円満でいるための3つのコツ!
下方婚で幸せかつ円満な家庭を築くには、「上下関係」ではなく「対等なパートナー」としての視点が大切です。ここでは、関係を安定させるための3つのヒントを紹介します。
① 「上下」ではなく「役割」で考える
経済力がどちらにあるかではなく、家庭をどう支えるか、どんな役割を分担するかに焦点を置きましょう。
- 家計の主導
- 家事の比率
- 休日の過ごし方
上記のように、お互いの得意分野を事前に分けていれば無理なく対等な関係を築きやすくなります。
特に家事や育児については、「得意なほうがやる」「早く帰れるほうがごはんを作る」といった柔軟さが大切です。
② 感情を溜めないコミュニケーション
「頼るのが苦手」「感謝を言葉にしづらい」と感じている人ほど注意が必要です。
経済的なバランスが異なるカップルほど、“感情の共有”が関係を支えるからです。
小さなことでも「ありがとう」「お願い」「ごめんね」を口にするだけで、空気が変わります。
③ 「社会的評価」より「二人の満足」を優先
周囲の目を気にしすぎると、自分たちのペースを見失います。
「夫婦はこうあるべき」という型にとらわれず、「二人で選んだ生き方」として常に前向きに歩むことを忘れずに。
多様化の進む現代は、収入の多い少ないではなく「生活の満足度」こそが幸福の指標です。
「上下」ではなく「並んで歩く」関係が新しい夫婦のかたち
最近では、メディアで以下のような夫婦像を目にする機会も増えたのではないでしょうか。
- 妻が外資系企業でキャリアを積み、仕事に打ち込む
- 夫が料理研究家や在宅ワーカーとして家庭を支える
- 互いの得意分野を活かして生活を共同運営する
かつては「どちらが上か下か」で測られていた関係も、現在はどちらも「自分の人生を大切にできる関係」を優先する考え方に変わりつつあります。
つまり、“平行線のパートナーシップ”が新しい標準となりつつあり、この考え方こそが「下方婚」という言葉の古さをやわらげてくれるでしょう。
上下関係より補い合う関係
夫婦関係はもっと柔軟であるべきで、どちらかが支える側というよりその時々で役割を交換しながら支え合う関係にこそ成り立ちます。
お互いの得意・不得意を理解してフォローし合う、まさにチーム型のパートナーシップを意識してください。
大切なのは、どちらが上か・下かではなく、どう支え合えるかという視点。ここに焦点を移すことで、関係はぐっとポジティブなものになるはずですよ。
「下方婚」は“格差”ではなく“選択”として受け止めよう
「下方婚」という言葉には、まだ“上と下”という古い価値観が残っています。
けれど、今の時代に必要なのは“格差のない理想”より“理解し合う現実”。年収や地位よりも、互いを尊重して心地よいペースで生きられることが本当の豊かさにつながるはずです。
下方婚を「幸せな結婚生活を送る選択肢のひとつ」として捉えれば、夫婦関係のかたちに縛られず、いずれ二人らしい幸せを見つけられるでしょう。
これからの幸せな将来を思い描く上で、この記事が少しでも参考になれば幸いです。






