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徳を積むとはどういう意味?
徳を積むという言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、正しい意味を理解している人は少ないかもしれません。徳を積むの「徳」は、「人のよい行い」のことを指します。つまり、よい行いを積み上げていく意味になります。よい行いがどんなものなのかは、特に定義はありません。人それぞれがよい・正しいと思う行いを積んでいくことが徳を積むことになります。詳しく解説しましょう。
仏教や儒教の考え方
徳を積むは、仏教や儒教など宗教にも出てくる東洋の思想です。西洋の文化は個人主義ですが、東洋の場合は自分のためではなく人のために何かを行うことを美徳とする考え方があります。東洋には思想として古くから人知れずによい行いを重ねていけば、必ずよい知らせが来たりいつか名誉を与えられたりするようになるという考え方があるため、東洋人は徳を積むの考え方や思想を比較的受け入れやすい人種といえるでしょう。
陽徳と陰徳がある
徳には、陽徳と陰徳があります。陽徳は、よい行いをして人から直接感謝されたり、表彰されたりすることをいいます。表立って徳を積むことですね。陰徳は、人に知られないところで徳を積むことをいいます。誰に見られていなくても人に役立つための行動を自ら行うことです。そのため感謝されたり名誉を与えられたりするわけではありません。徳を積むで使われる「徳」は陰徳のニュアンスが近いでしょう。
見返りを期待しない行動
陰徳に近い意味の徳を積むことは、見返りを期待しない行動です。自分の行いを人に見てもらって評価してもらうのではなく、天にいる神さまや仏さまが見てくれているから徳積みをするという考え方です。自分の損得勘定による行動ではなく、みんなにとってよいことをさりげなく行うことで、他人や環境をよくして巡り巡って自分や自分の子供や孫に返ってくると考えて、誰にいうでも見せるでもなくよい行いをします。
徳を積む方法は
徳を積むの意味がなんとなく理解できても何をすればいいのかわからないという人もいるかもしれません。しかし、徳を積むことはそれほど難しいことでも高尚なことでもなく、日常生活の中のちょっとしたことが徳積みになります。「徳を積もう」と意気込まなくても、知らず知らずのうちに徳を積んでいることもあるかもしれません。具体的に徳を積む方法を見ていきましょう。
人間関係を良好に保つ
人間関係を良好に保ちましょう。まずは身近な家族、夫や妻、子供たちとの関係に注目してください。一緒に生活するのがあたり前すぎて、「ありがとう」を伝えられなくなっているかもしれません。またちょっと気まずくなったときやケンカをしたときも素直に「ごめんなさい」を伝えましょう。言葉遣いを丁寧にするだけでも、話している相手が受ける印象は変わります。仕事で関わる人たちとの人間関係も意識してください。相手を思いやる気持ちを持って接すれば自然とイライラする機会が減っていきます。特に経営者の人は、従業員がいるから事業活動ができることを忘れないようにしましょう。
寄付をする
寄付をすることも徳を積むことになります。普段の買い物や外食で支払いをするときに、レジの近くに募金箱があるのを見かけたことがある人もいるでしょう。もらったお釣りの中からいくらかを寄付するのもよいですね。また、日本国内だけではなく海外でも大きな自然災害や事故などが起こったときに寄付をするのもよいでしょう。多くの金額を寄付する必要はありません。自分の気持ちを寄付という形にしてください。
掃除をする
掃除をすることも徳を積む行いです。自分の家の中を清潔にすることはもちろんですが、ゆとりがあったら公共の場所を掃除してみましょう。たとえば、公園や町のゴミ拾いに参加する、公共の施設の清掃のボランティアに参加するなどしてみてください。見返りはありませんが、みんなが使う場所がきれいになると、気持ちがいいし働いたあとに清々しい気持ちになるでしょう。
粗食を心がける
粗食を心がけましょう。粗食とは質素な食事ですが、急に食生活を変える必要はありません。まずは腹八分目を意識しましょう。必要以上に食べ過ぎることは、食料を無駄にすることにつながります。また、毎日のように肉や魚を食べている人は、週に1、2回ベジタリアンの食事にしてみましょう。動物や魚を殺さない食生活です。食べたいものを食べたいだけ食べるのではなく少しだけ、節制するところから始めてみてください。
自分の心を穏やかにする
自分自身を穏やかな状態にしましょう。イライラしそうになったら深呼吸してください。また朝起きたときに「今日もいつも通り一日を始められます。ありがとうございます」、または夜眠る前に「今日も一日いい日でした。ありがとうございます」と心の中で感謝の気持ちを持ちましょう。さらに、いつも笑顔でいることを心がけてください。自分が笑顔でいると自然と周りも笑顔になり、みんなが穏やかな気持ちになるでしょう。
徳を積む効果とは
徳を積む行いを繰り返すことで、どんなメリットがあるのでしょうか。「見返りを求めずに徳を積んでも、誰にも知られないのだからなんの効果もないのでは」と思うかもしれません。実は徳を積むだけで幸せな人生が送れます。
生き方が変わり幸せになる
よい行いをすることで、自分の生き方も変わっていきます。誰かの役に立っていると感じることは、生きる活力を与えてくれます。さらに、今までは恥ずかしかったり戸惑ったりしてよい行いをするタイミングを失っていた人も、徳を積むことで慣れてくるのですぐに行動に出られるようになります。たとえば、お年寄りや体の不自由な人に電車で席を譲ったり、道に迷っている人に声をかけたりできるでしょう。
良い行いをすることで来世もいい立場で生まれる
徳を積むことは自分の代ではなく子供や孫の代まで徳が続くといわれています。また、神さまや仏さまが見ているので、この世で徳を積んだ人は、来世でも幸せな立場で生まれ変れるでしょう。今、徳を積むことは、未来も幸せにしてくれるのです。
徳を積むことは難しくない|できることから始めよう
徳を積むとは、人知れずよい行いを積み重ねることです。見返りを期待しない行いは、最初は気が乗らないかも知れませんが、特別なことをする必要はありません。少しだけ普段の生活の中で自分ができることをやってみましょう。また、自分をよい状態に保つことが、周りの人との関係をよくし、幸せにすることにつながるので、いつも笑顔を忘れないでくださいね。